劇場版CLANNAD

なんだ、完璧じゃないか。
期待通り、原作のテーマを踏まえつつも、映画と言うフォーマットの、一回きりの連続した時間の中を生きることが徹底されていたことがとても嬉しかった。
劇場版独自の構成として、渚の身に起こることが早くに明らかにされる点が挙げられる。もう悲劇は理不尽に確約されていて(悲劇の原因に遡ることは無意味であり、悲劇自体を解決しようなどとは思うこともできない)、普通の幸せには置いて行かれている、という状況が前提としてある。その上で悲劇をどう乗り越えるか、を主眼に置く。例えば、死を劇的に演出して泣かせるような通俗性に与したりはしない。
これはあの原作を映画化する上で、実に真摯な姿勢だと思う。また、BGMも、「あんぱんっ」といった台詞も、オマージュっていうのはこうじゃなくちゃなあ、っていうのを体現してくれた。
まあついでに言うなら、京アニは何を気取ってるんだと思ったよ。もちろんTVシリーズでは映画ともまた違う表現を探さなければいけないのだけど。
渚は可愛かったです。もしかしたら原作よりも。これは惚れる。まあなんだ、実のところ、『テーマ』なんつー作品のどこを見渡しても(少なくとも直接には)書かれてないようなことよりも、渚を始めキャラクターたちが幸せそうにしてること、その一挙手一投足の方が大事なのかもしれない。