○で?


「場の量子論 発散」でググったら凄いページがトップに引っかかった。
http://www.google.com/search?q=cache:QZt8KugYqDQJ:www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page018.htm+%E5%A0%B4%E3%81%AE%E9%87%8F%E5%AD%90%E8%AB%96%E3%80%80%E7%99%BA%E6%95%A3
斜め読みしたところ、「場の量子論の発散の問題は相対論のせいなので相対論を捨て去れば発散の問題は消えて物理は大きく前進する!」という主張らしい。Googleの「世界中の情報を整理し尽くす」という壮大な目標は順調に破綻しているようだ。まあ一番注目を引くのは確かにこの記事だろうけど…


このページの議論の背景にある思想は「とにかく厳密で無矛盾でなければ気が済まない」ということなのだろう(もしかして壮大な釣りか?)。だが恐らく物理の各分野を互いに何の矛盾もなくしようとしたら価値のある予言はなんら出て来ないだろうと思われる。
東京大学駒場キャンパス量子論などを教えている清水明先生(http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/index-j.html)の話では、「現在の物理学は有効理論の集合である」、つまり「それぞれ適用できるスケールが異なる理論が互いに補い合って豊かな内容の予言を生んでいる」ということだそうだ(参考:http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/genmitsu.html)。要するに、多少の矛盾を含んでたって現実をうまく説明できた方がいい理論に決まってるじゃんという常識的な話なのだが、各理論には適用できる範囲があり、その境界が曖昧なのをいいことに難癖をつける人がいたようである*1


そんで、ネット偽批評界隈でよくあるダブルスタンダード批判を連想した。
参考1:『民度ダブルスタンダード』 :kg's frag
http://fragments.g.hatena.ne.jp/keijis/20061121/p1
参考2:『他人のダブスタを熱心に指摘するものが、自分のダブスタには気付いていない痛さ』 :ekken
http://d.hatena.ne.jp/ekken/20060418/p1
上2つ:via REVの日記。


何か評論を書く?読む時は語句の定義や論の適用範囲を明確に意識しなければならない。ネットにあるダブルスタンダード批判の中でまともに批判として成り立ってるのはほんの一部だ。
上の物理の話との対応として、本気で無矛盾を目指したら「自明な解*2」しか導けない、ということを言っておく。そんな結論には無論誰も興味がない。



○『【映画】「この12年間エヴァより新しいアニメはなかった」…庵野監督決意表明』 :痛いニュース
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/922845.html


まあ、そうかも。でもそんなことより、庵野さんはエヴァを一応誇りに思っていたのか、というのがちょっとした発見でした。

*1:無論、場の量子論の発散への考察から物理のもう一段本質的な理解が可能になる可能性もあるのだろうが、それとこれとは話が違う

*2:すなわち、人間みんな死ね