セイントオクトーバーを振り返る


ニコニコで最後まで声優が微妙だったーとか書かれてるけど、お前それ何を聞いていたんだと。アラ捜しの聴き方をすれば滑舌(と、それに伴って日常の組み立てとか?)に難があるように聞こえるのかもしれないけど、それよりもここ一番での三人娘の凄まじいパフォーマンスに注目すべきなんじゃないかと。19話の菜月とか25話・ヨシュアへのジャッジメントとかー。とかー。
そうした声優さんたちの突破力の高さだとか、演出だとかが完璧に噛み合って駆動しだす瞬間って本当に感動的で、思い返してみるとそういうシーンはいくつもあった。いわゆる、俗に言う、「神作画」とかはなかったかもしれないけれど、そんなのは軽くぶっちぎっている*1。しかもセイントオクトーバーの場合いつも不意打ち。卑怯。
僕は5月からずっとこの人が最終話まで観たらなんて言うだろうなあってのが気になっている。菜月が猟兵を好きになる伏線なんて17話のラストカットだけで十分じゃないだろうか、と僕はとりあえず思うけれど(あの回の引きは素晴らしかった)。
もともと僕は「エスメラルダ」に「えすめらるだ」とルビを振るセンスにノックアウトされてこのアニメにのめり込んだクチだ。猟兵と小十乃と菜月は三角関係になるはずだ、みたいに僕たちに思い込ませておいてあっさりそれをスキップするような展開はそういうネタの延長線上に捉えることも可能だろうけど、「『物語的必然』があっさりと解体されていくにも関わらず、なお輝きを放つ人間同士の繋がりを見よ」と最終話を観終わった今でははっきりと言える。
しつこく25話の話をすると、小十乃は『ヨシュアは私の幸せの全て』とか言うくせに彼にかけたジャッジメントは(小十乃本人の無自覚なままに)アルカナシティ全域に及ぶわけで、でもやっぱり彼女の世界の中心はヨシュアなわけで。『正義の女神』としての小十乃と、大切な人に愛を傾ける少女としての小十乃が、二面性とかじゃなく渾然一体となった一つの人格を感じさせる完璧なシーンだよ。素直に感動しようよ。ここは。
小十乃とヨシュアの関係っていうのは、「どんな関係なの?」と訊かれたら「全話見てください」と言うしかない、つまり、アッシュの元から逃げ出して二人で暮らし始め、学校に迎えに行ったり、病気を看病したりした出来事の総体こそが二人の関係なわけで、要するに、僕はそういうのが大好き。アンコールお願いしますよ、マジで。
まだ色々書きたいことはあるけど(小十乃とアッシュの決別のシーンとか特に)、とりあえずとっととアップしたいので一旦おわり。



sola 最終話 『ソラ』


久弥と花田って親和性なさすぎるように思うんですが。今回のは、まあ少なくとも台詞回し全般は久弥かなあ(いや、それって全部じゃん)。対話で、片方が同じ相槌を連続して打つ場面があったかと思いますが、その辺のリズムの取り方がなんかアニメっぽくなかったり、あとは茉莉のラストの独白の丁寧語とか。
前回絶賛してた割にやる気のない文体なのはそれほど感心しないラストだったからですかね。人間いつか死ぬわけですがその人の全存在が消滅したといえるのはさらに先、誰もがその人のことを忘れてしまったときです。夜禍はおかしな具合にその順番を逆にしてしまえますが、やはり誰の記憶からも消えることは死ぬことよりも残酷で、いったん自分のことを忘れさせた後再び現れて同様の(さらに依人や茉莉の存在の残滓も組み入れて)関係を築くことは死者の復活よりもグロテスクに見えます。
ラストのトマトしるこ×2。無邪気な視聴者の期待通りに取ると流石に自己矛盾を起こしすぎるのでとりあえず却下。うーん、酔っ払いが気付けにたまたま見かけた変なドリンクを2本飲み干して去っていった、という解釈が一番幸せな気がします、というのは冗談としても、アレを飲んだどこぞの二人は夜明けを待たずしてその場を去ったことになり、どう解釈するにしても過去の亡霊といいますか、繰り返される悲劇、という印象は拭えません。
声優については、やはり能登は偉大だ、ということと、中原⇒能登の流れよりは能登⇒中原の流れの方が圧倒的に正しく、そういう意味では納得のEDだ、みたいな?(適当)



○代わりに
エルカザドが面白かったんで満足。間への意識ってことなら真下監督は業界随一って気がします。
あと挿入歌で「Angel」って単語聞こえてきませんでした?こういう婉曲も大好きだったり。



○ぼくらの
こいつら全然笑ってなかったんだなあ、と新ED見て今更。一部顔の見えない方もいらっしゃいますが。



○いやあ
今期新番組が始まりました。ななついろドロップスはいきなり見逃しました。この勢いで切ってしまえば幸せになれる気もします。
それにしてもウミショー瀬戸の花嫁藍蘭島キスダムと、海難事故はラブコメの基本ですね!
ZOMBIE-LOAN。出てくるのが嫌な奴ばっかりでワクワクします。PEACH-PIT先生は昔富士見ファンタジア文庫で挿絵をやってた頃からは想像もつかないほど有名になっちゃいましたね。内容?えーと、桑島法子。あといちいちポーズ取るのがなんでなのか気になります、特にA君。
ドージンワーク浅野真澄楽しそうなのでこっちも幸せになります。

*1:余談だが、最近、アニメの作業工程は早い順に重要説というのを思いついた。金さえあればそれなりに見られてしまうような作画は可能なこととか、脚本がダメならその後がいくら良くてもそのダメさはついてくるんじゃねえかとかいう考えに由来してるわけだけど、結局のところ、アニメに於いて声優の存在がいかに異端であるかを説明して納得させるための屁理屈なのだった