黒百合の考察というか批判というか @お子様

黒百合

黒百合


読んで、「あぁ、騙された」となって、とりあえずネットでの評価を散策。
やけに評価が二分されているので、その原因をちょっと考えてみた。



2つの評価

読書メーターやらブログソースやらが基なので、客観性は欠くんですが、この作品はやけに評価が二極化しています。


この物語は、2つの視点から評価できるでしょう。
1つは物語の本筋の評価、2つ目は叙述トリックに対する評価。
1の物語の本筋は人それぞれで結論づけていいと思います。
中学生の淡い三角関係から描かれる物語を面白いととるか、冗長ととるか、それは個々人の考えですし。


さて、肝心なのは2の叙述トリック
これを騙されずに読める人はそうそういないと思います。


しかし、この叙述トリックには色々難があって
1.叙述トリックが発揮される事件があまりにも本筋に関わらなさすぎる
2.作品内で起きる事件は過去の物語と絡むわけだが、過去の物語と青春物語との関連性が薄い

叙述トリックがあろうとなかろうと、本筋を重視してしまう読者にとってはどうでもいい。
3人の青春物語がどうなるか、そっちの方が叙述トリックよりよっぽど気になってしまう。


3.叙述トリックのネタ晴らしが弱い。
  ネタ晴らしされて「そういうことだったのか!」とならず、「ん?どういうことだ?」と読み返してしまう。

ここら辺は読者の読解力も関わってきますか。
すぐ気付ける人ならインパクトでかいかもしれないです。私は読み返してやっと気付きました。


4.読者にとって、「騙されてる状態のまま」で何も問題ない。

叙述トリックというのは、「騙された状態では釈然としない」くらいがいいと感じます。
この物語の場合、「騙されたまま」でいいんですよね。騙されているところで、本筋のストーリーには関わらないわけですし。
特に、叙述トリックの存在を知らない人にとっては、ネタ晴らしの時にただ??となるだけ。
叙述トリックというのは、その存在が薄っすらと見えていないといけないわけです。

まとめ

自分自身で叙述トリックを書いたことがないし、叙述トリックが使われた小説をそんなに読んだわけではありません。
なので、叙述トリックの書き方が上手か下手か、については強く言及しないでおきます。
強いて言えば、読者に思考する隙を与えないのは「ずるい」し「つまらない」なというのが正直なところ。
そして叙述トリックの使い方。
物語の本筋と強く関わっていない以上、下手であるというしかないと思います。
犯人が誰だろうと、物語の本筋においてはどうでもいいこと。これを本筋に絡められたらとても良かったのに…


叙述トリックを含めたミステリーとして見るのが評価の低い層
叙述トリックはおまけで、青春物語として楽しめたのが評価の高い層
ってところでしょうか。