少女マンガの少年マンガへの影響

少女メディア研究の講義レポート十一回目。
余談だけど、前の席に座った女子が赤ヘルの缶バッチつけてて吹いた。


1970年代〜1980年代

この時期から少女マンガの表現技法が少年マンガに影響を与え始める。
それ以前は「巨人の星」、「あしたのジョー」、「男一匹ガキ大将」など硬派なイメージの作品が多かった

この時期の少女マンガ

乙女チックマンガのブーム。リボン乙女チック御三家(太刀掛秀子陸奥A子、田渕由美子)等。
コンプレックスのある少女がコンプレックスを克服しようと努力→結局うまくいかないがそういった頑張りを認めてくれる男の子の登場、といったパターン。

「硬派銀次郎」本宮ひろ志

女の子キャラを妻でもある、もりたじゅんに描いて貰う。
身長の小さい男の子、大きい女の子といった組み合わせ←身長にコンプレックスを持つという点で上記の点と繋がり?

「すすめパイレーツ」江口寿史

少女マンガのパロディが多い。(例:眼が少女マンガ風のキャラ、「『風と木の詩』の読みすぎか!」、「マッチ一本火事のもと、ポーの一族はぎおもと」等)
四段ぶち抜きのスタイル画(それをメタするようなセリフもあり)。
少女マンガをメタとしたギャグマンガが少年誌(ジャンプ)に連載される=読者のうち何割かは少女マンガを知っている→男性の中の少女マンガの知名度

キャッツ・アイ北条司

少女マンガ的なコマ割。(例:ページの右上と左下におかれた大きな人物像)
登場人物の視点を思わせるような画面とキャラの位置構成。(例:最終話あたり)

80年代初頭の少年マンガにおけるラブコメブーム

「飛んだカップル」、「うる星やつら」、「陽あたり良好!」、「みゆき」、「タッチ」等。
それらを受けて「胸騒ぎの放課後」、「THE かぼちゃワイン」、「きまぐれオレンジ・ロード」
キャラクターの衣装がおしゃれになった。
着たきり雀だったりファッション誌からそのまま持ってきたような過度のおしゃれといったものでない、極めて「普通」の服装。

あだち充について

陽あたり良好!・・・少女誌で連載。(男)キャラのコマからのはみだし、眼の中に星などの特徴あり。
「タッチ」・・・少女マンガ(ラブコメ)的内容。少年漫画的コマ割。
それまでの野球マンガ巨人の星等)と比べて極めて人間ドラマ的でありながら、少女マンガ的なコマ割はほとんどない。文字がコマからはみ出す、通常長方形のコマ枠が台形などに変形するといったものに留まる。
単純で分かりやすい構成=状況描写が丁寧で少年マンガの読者にも読みやすい。
陽あたり良好!」で少女マンガ的表現技法をあだち自身が行っていることから、少年マンガ読者に読みやすいよう、意識的に表現をおこなっている?


1980年代後半〜2000年代

80年代後半〜

「かわいくてちょっとエッチ」の共有
「♂と♀の方程式」、「あの子に1000%」:絵柄の変化
↓↑
「ああっ女神さま」、「星くずパラダイス」:少女マンガ、アニメみたいな絵柄
↓↑
「きみのことすきなんだ」、「水色時代」:90年代〜
講師が書店でバイトしていたときにこれらのマンガの購買層がかぶっていた(少年マンガと少女マンガを両方買っていく人がいた)ことから少年or少女マンガといったジャンルによって買うものを区別するのではなく、「好きだから」といった、好みでマンガを買う傾向も。

用語「萌え」の登場

80年代後半〜90年代初め
「かわいい」などの感覚を表す言葉を持たなかった男たちが、それらの感覚を表現する言葉として作った。
由来は恐竜惑星説、セーラームーン説、太陽にスマッシュ説など。


90年代後半以降「ラブひな」、「苺ましまろ」など商業誌においても「萌え」を前面に押し出した作品の登場。

2000年以降

最終兵器彼女」、「ちょびッツ」、「あずまんが大王」、「よつばと」、「エマ」等、既存の「萌え」概念に囚われない「萌え」を考えさせられる作品の登場。

最終兵器彼女高橋しん

少女がメカ化という少年漫画的な展開。
作者自身はあまり「萌え」を意識したわけではない?
作者が少女マンガに多大な影響を受けている。奥付の所に上げられている作品は一見さんやにわかでは挙げられないような作品ばかり。
コマ割としては保守的=少年マンガ的、シンプル


1960年代以前

石森章太郎

「ミュータントサブ」(←少女マンガ)、「秘境三千キロ」(←少年マンガ)の二作品を同時期に連載。
異なる二つの絵柄の書き分け


スタイル画高橋真琴。物語れの流れを切るようなカットの挿入。
70年代ごろまでに合理化されたスタイル画、コマ構成へと変化。


その他

少年マンガはスピード感や読みやすさを重視。
少女マンガはきれい、かわいいといったものを重視。心理描写の表現形態を追求。


少女マンガの定義は人それぞれ。講師にとっては少女読者が中心として読んでいるもの。
人間関係のバリエーションを考えさせるもの=内面描写などが優れているもののみを少女マンガとして扱う人もいるが、そういった人には近年のティーンズラブは認められない?


少女マンガのマンガ家の男性比率は昔に比べて低下したが、男性読者の比率は上昇した。


萌えマンガを読んでいれば少女マンガを読む必要がない←少女マンガ的技法を極めて取り入れた男性マンガの発展として萌えマンガがあるため。