『依存』と『中毒』の違い

「中毒」という言葉を聞いて、皆様どのようなイメージを抱くでしょうか?
薬物中毒、アルコール中毒、ニコチン中毒etc…
世の中には中毒という言葉は結構溢れています。


では次に、「依存」という言葉を聞いて、皆様どのようなイメージを抱くでしょうか?
先ほど「中毒」で浮かんできたイメージと被る人が多いのではないでしょうか。


アルコール中毒と聞けば、アルコールに依存している人。
薬物中毒と聞けば、薬物に依存している人。
このように世間では「中毒」=「依存」というイメージが強くついています。


しかし、「中毒」と「依存」は全くの別物です。
中毒は「摂取した物体の毒素にやられる」こと、依存は「依存する」ことを指します。
折角なので、ここで詳しく説明しましょう。




依存には2種類あり、心理依存、と身体依存に分けることが出来ます

心理依存

物体に対し心理的に依存することです。毎晩の酒や、タバコのライトスモーカーが当てはまるでしょう。
例えばあなたが毎晩酒を飲んでいるとします。ある日酒が無いことに気づいたとき、「買いに行かなければ」と無駄な義務感を覚えたらそれは心理的に依存していると言えるのです。
小学生のTVゲーム、毎晩の風呂なども心理依存と言えるでしょう。


この心理依存には強度があります。
風呂を例に挙げてみましょう。
例えば浴槽が壊れて使えないとき、依存の強度が弱ければ「入らなくていいや」とか「シャワーで我慢しよう」になりますが、強度が強い時は「遠くの銭湯に行く」や「知り合いに貸し湯を頼む」など少し面倒くさいタスクも平気で行うようになります。


私たちの周りで代表的な物体は「砂糖」や「カフェイン」、もしくはそれらが含まれる飲食物です。
強度は弱いですが、依存性があると一般的に言われています。
コーヒー、チョコレート、コーラ等、「カフェイン」と「砂糖」が入ったこれらを急に口に入れたくなったりしませんか?
なるという人は依存しているということです。


ちょっとアレな物質を例に挙げると、モルヒネ、アルコール、コカインは比較的強い心理依存を引き起こすと言われています。
しかし、どんなに心理依存が強くとも身体的な障害は起こりません。(ストレスとかは除くが)

身体依存

連続的に特定の物質を摂取したときに起こる依存です。
特定の物質を摂取した状態が、体にとっての「正常」となってしまい、摂取をやめた途端に体が「異常」になってしまうことを言います。


比較的強い身体依存がありますアルコールを例に挙げてみましょう。
何かの拍子にヤケ酒を始め、昼夜問わずに酒を飲み続ける人が居たとします。
最初の段階で身体依存は起こらないのですが、ゆっくりと体が「酒の入った状態」を「正常な状態」と誤解を始めます。
ある日、その人が喧嘩騒ぎを起こし留置所に入れられました。
もちろん酒は飲めません。
段々にアルコールが抜けていくと、その人の体調はみるみるうちにおかしくなっていきます。
「酒の入った状態」がその人の体の「正常な状態」であるので、「酒の無い状態」、すなわち一般的に「正常な状態」がその人にとっての「異常な状態」となるのです。


この様に、依存している物体が体内にある状態が正常となり、その物体が体内から無くなったとき身体的に異常を引き起こした場合、身体依存をしていると言います。


一般的に身体依存を引き起こす物質は「アルコール」と「ニコチン」です。
シャバい物質の中には「モルヒネ」が一つありますが、意外にも「コカイン」や「大麻」に身体依存は見られません。

中毒

初めに言ったように、摂取した物体の毒素にやられることを指します。
薬物であれば、薬物の毒、
ニコチンであれば、ニコチンの毒に体が蝕まれている状態を「中毒」と言います。


身体依存も何か毒っぽくね?って思う人もいるかもしれませんが、言ったように中毒と依存は別物です。
「アルコールに身体依存が出来てしまい、酒を飲んでないと寒気がする」という人が居たとしても、アルコール自体に寒気を引き起こす毒などは無いのでそれは中毒とは言えません。
アルコールの飲みすぎで昏睡状態になった、というのであればそれはアルコール中毒と言えるでしょう。


どうでしょうか?あなたは中毒と依存を勘違いしていませんでしたか?

ちなみに

心理依存、身体依存は動物(猿)実験によって行われます。
心臓にダイレクトに物体を入れる装置を作り、猿の反応を調べるのです。


実験方法(モルヒネの場合)
1・レバーを押すと薬物が投与されることを猿に学習させる
2・猿、レバーを押す
3・モルヒネ投与。
4・猿、気持ちいい。
5・薬物がほしいのでもう一度レバーを押す。


1〜5の繰り返しですが、依存度を図るためにレバーにはトリックを仕掛けます。


最初は1回レバーを押すだけで薬、次は2回レバーを押せば薬、4回で薬、8回で薬、と自乗関数のようにレバーを押す回数を増やしていきます。
レバーをたくさん押してまで薬を得たくなければ途中でやめます。
薬がほしければレバーをたくさん押します。
レバーを押した回数で依存度が見えてくるのです。


カフェイン…100回前後
ニコチン…800〜1600
モルヒネ…1600〜3200
アルコール…3200〜6400
コカイン…6400〜12800


快楽とは怖いものです。
不思議なことに、大麻とかよりずっとニコチンとアルコールは怖い物質なのに日本では野放しなんだよなぁ。
大麻は中毒性も低いし依存性も低いからむしろマシかと…。そこはアメリカ的な事情だけど。
世界を見てここまでタバコが安いのも日本くらい、酒も野放し。国が儲かるからだろうね。
アルコールはたくさん飲めば死ぬけど、大麻なんていくらやっても死なないぜー。

そこで考えた

たばことか酒の値段を上げるのではなく、買うのを難しくするのだ。
まずは酒とタバコの店頭販売を禁止。自販機のみで少し高めに売る。
自販機で買うときは、お金を入れてボタンを何百回か押さなければいけない。
こうすれば買う人は減る。だが国は儲からない。採用されないだろうなぁ。