「負け組おんらいん」 @お子様

今日も、バイト帰りにプレゼント交換の景品を探していた。


ぶらりと立ち寄った寂れた書店。
目的の本こそ見つからなかったが、その場に似つかわぬ駄菓子売り場のコーナーがあり、つい心魅かれて立ち入ってしまった。


…そうだ、キムチ鍋さんとのクリスマスパーティでもプレゼント交換をするんだった。300円以内ということだし、駄菓子の詰め合わせにしよう。


懐かしさも相まって、小さな買い物籠を手に夢いっぱいのお菓子を買い漁る。
家にある適当な袋に詰め込めば、それなりの見栄えもあるだろう。
レジのおばちゃんに、30円ほど多く取られた気がするけど、買った商品が余りにも多すぎるのでつっこむのは無しにした。


しかしまぁ、300円分の駄菓子と言えども、思ったより量があるものではない。
袋に詰めてみれば、見栄えこそ良かれど、実際に開けてみるとがっかりしてしまうだろう。
そんなことを考えながら包装していると、ふと田舎に住む祖父のことが思い出された。


祖父の家から車で10分ほどの所にあった駄菓子屋。
祖父の家に遊びに行った時は、必ずと言っていいほど駄菓子屋に買い物に行く。
何もすることがない田舎。子供たちの退屈しのぎであると同時に、孫を可愛がる祖父の気持ちは大きかったのだろう。
店が休みの時も、顔を利かせてわざわざ開けさせるほどの執心ぶりで、まぁその分子供は喜んだものだ。


私にまつわるエピソードがその駄菓子屋にあり、まだ物心付かぬ頃、その駄菓子屋で1000円分のお菓子を買った。
遠慮もクソもないが、よく笑い話として引き出される。私自身は全く記憶にないのだが、その話を聞くと苦笑いを浮かべてしまう。


もう祖父にお菓子を買ってもらうことは出来ない。*1
最後に行ったのは、中学の時だったか…。あの店は、今もまだ残っているのだろうか。


色と甘みがついただけのガムを口に入れながら、味ではない何かを噛み締めていた。

*1:私の年齢的な意味で